Study Japanese 〜コロナ禍後の日本への「入口」
日本語学校でいま起きていること

原田 公樹

レポート

2008年に文部科学省が策定した「留学生30万人計画」は2019年に達成した。コロナ禍で学生数が一気に減少したが、いま再び増加傾向にあるという。アジア諸国からの留学生は、なぜ日本語を学ぶのか。日本語教師として10年。教え子は2000人を超えたという、ジャパンランゲージスクール(JALAS)東京(世田谷区)の加野奈保子副校長に実情を聞いた。

 コロナ禍で留学生は一気に減少しましたが、いま再び、積極的に受け入れていこうという流れです。国別でいうと、依然として中国とベトナムからが多いですが、コロナ禍後、ネパールやスリランカ、バングラデシュからの学生も増えています。南アジア諸国からも希望者は増えていますが、東京に関しては、在留資格が交付されないケースが多いです。
 留学の理由として、ITや自動車工学、ビジネスを学びたい、という学生が増えています。IT先進国といえば米国や中国、インド、また韓国もあるのに、なぜ日本なのか。学生たちに聞くと、日本は安全で、独特の文化があることが、魅力だと言います。

 日本人として、うれしいことです。しかし日本社会で「日本語学校」は、決していいイメージがあるわけではありません。過去に問題のあった学校や学生もいて、メディアでも報じられたからでしょう。
 日本語学校は、日本で生活していくうえで必要な日本語や文化、常識など、さまざまなことを学ぶ場です。専門学校や大学へ進学する学生も多いです。「多文化共生」という言葉がトレンド入りするなど、世の中全体は、外国人にかなりオープンになってきました。ただ外国人との共生は、言葉だけでなく、その国の背景や文化を理解しないと、難しい面があります。もう少し社会全体で、「日本語学校」と「留学生」を寛容な目で見て欲しいです。

 

New Comer 〜夢はトヨタで働き、日本で起業すること

コンダシグ・サンカ・ラクシトゥさん(28歳)

今年4月に留学生として、スリランカから来ました。2014年12月に旅行で神戸に来たとき、最初に驚いたのは関西空港です。まるで島のようだったからです。いままで見たことはありませんでした。それから3週間の旅は、驚きの連続でした。日本の技術を吸収したい。そう思い、父親が経営する建設会社で安全管理者として働きながら、8年かけて、ようやく日本で勉強する、という夢を実現しました。

 これからも私の夢は続きます。このJALAS東京で2年間、日本語を勉強して、その後、自動車工学の専門学校へ進学したいと思っています。卒業後、できればトヨタで数年、働いたあと、日本で自動車関連の会社を起業したいと考えています。

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